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桃尻文庫

~スパンキングやお仕置きに関する創作ブログ~

プールの記憶 (女教師/男子)

夏、汗だくになりながらの買い物帰り。児童公園のそばを通ると、涼しげな水音と子供たちのはしゃぐ声が聞こえてきた。

広場の一角に設置された深さ二十センチほどのささやかな水場。そこに小さな子供たちがひしめいて、バシャバシャと盛大に水飛沫を上げている。プールの端には、弧を描いて伸びる高さ二メートル強の金属管。鏡面処理されてきらきらと輝くそれは、ミスト状の飛沫を吐き出す噴水だ。

 (涼しげでいいなぁ) 

ミストのおかげか、やや離れたベンチの方まで冷気が漂っている。見れば、サラリーマンやお年寄りが木陰のベンチでくつろいでいた。考えることは、みな同じだ。目がくらむほどの強烈な日差し、ちりちりと肌を焼く感触。その中で見つけた水の匂い、エアコンとは異なる自然な涼感。晴れ渡る夏の日にしか味わえない心地よい体感を、みすみす逃す手はないのだった。

歩き疲れていた私も、さっそくベンチに座って水の気を楽しむことにした。さすがに大人になった今、あそこに飛び込んでいくことは叶わないが……。

 (プール、楽しかったよなぁ)

隅のほうで水面に顔をつける練習をしている子もいれば、水の掛け合いに興じる子もいる。飛び込み禁止で監視員さんから注意を受ける子も健在だった。自分の頃と比べれば人数は減ってしまったけれど、中身は大して変わっていないらしい。

それが良いか悪いかはさておいて、なんだか自然と笑みがこぼれてくる。私もこんな風に、周りの大人達に見守られていたのだろうか。

しばらく子供たちを見るでもなく見ていると、ふと、懐かしいものが目に入った。真っ赤な水泳帽の額の部分に縫い付けられた、黒い数本の紐。そうだ、プールの授業で泳げた距離によって貰える、あれだ。

(あの制度、まだあるんだ)

あまりの変わらなさに、苦笑い。認識と同時に、ほんの一瞬だけタイムスリップしてしまったかのような微かな錯覚。懐かしい光景、塩素の混ざった水の匂い。そうだ、自分が子供の頃も、あの帽子に貼り付ける線があって……。勲章のようなそれが欲しくて、プールの授業が待ち遠しかったりしたのである。

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