- 桃尻文庫

診断メーカーお題 彼の「ごめん」は軽すぎる



彼の「ごめん」は軽すぎる。
はにかみながらそう言う度に、俺は何でも許してきた。
仕方ない、悪気があったわけじゃないんだからって。
でも、今日の失敗はまずかった。

玄関を飛び出した彼の前を、ワゴン車が通り過ぎていった。
ぶつかる寸前、仰け反るように後ろに倒れ込んでギリギリセーフ。
いつも気をつけろって言ってるのに。
血の気の失せた俺に、彼は振り返っていつもの「ごめん」。
ダメだ、今のはダメなんだ。

思わず彼を抱きしめて、そのまま力任せに尻を叩く。
手の平がジンジンと疼きだす頃、いつもの「ごめん」は「ごめんなさい」に変わった。
痛かったね、でも。
もう会えないかもしれないと思った。


改行を除いて280字。軽めのお題でお茶を濁す試み。